【式辭】平成29年度 學位記授與式 (學士、修士他) 式辭

本日、學部を卒業される皆さん、大學院前期課程および専門職學位課程を修了される皆さん、卒業並びに修了、おめでとうございます。參列いただいているご家族の皆様にも、神戸大學全構成員を代表いたしまして心からお祝いを申し上げます。

先ほど、學部の卒業生2,519名、大學院修士?博士前期課程修了者1,119名、並びに法學研究科及び経営學研究科の専門職學位課程修了者61名の方々に學士、修士及び専門職學位の學位を授與しました。

さて、皆さんはこれまで大學?大學院という組織の中で教育を受け、研鑽を積んでこられました。そして、これから夢と希望を胸に秘め、限りなき未來に飛び立とうとされています。しかしながら、その未來には、複雑で厳しい世界が待ち受けているものと思います。

私たちは今、グローバル社會において様々な課題と向き合っています。イギリスのEUからの離脫や大衆迎合政黨の躍進など、統合を進めてきた歐州諸國の動揺、アメリカ合衆國大統領の自國利益を優先する言動、東アジア地區をめぐる関係國の様々な駆け引きなど、世界では自國と他國との関係の在り方を見直す動きが次々と起こっています。地球溫暖化に伴う異常気象や水資源管理の問題、原子力や再生可能エネルギーなどのエネルギーミックスの問題、周辺國を巻き込んだ內戦?紛爭、宗教的な軋轢等々、どれひとつとっても関係する各國の協力が無ければ解決の糸口にたどり著くことは困難です。極端な自國優先主義では、解決は不可能な問題が山積しているのです。また、技術的にも複數の分野の有機的な協力によって初めて解決の方向性が見えてくるものと思われます。

神戸大學が唱えている「學際融合」、「異分野連攜」という発想はかなり以前から存在し、大學や研究機関において様々な試みがなされてきました。しかし、今ほどこの複眼的なアプローチが求められている時代はないと思います。「連攜」や「融合」は、既成概念にとらわれない、インパクトのある成果を生み出す原動力となり得ますが、これは大學などアカデミアの世界に限ったことではなく、企業など実社會においても同様のことが言えます。狹い専門領域に閉じこもることなく、広い視野を持って他分野との協力関係を築き上げることが大切です。

そして、この異分野との連攜?融合という考え方は、文系、理系の垣根も超えて追求すべきものであります。大學改革に関連して、人文?社會系分野の必要性について議論が展開されていることを、皆さんもご存じかと思います。私は大學が輩出すべき人材は、みずからの専門に立腳しながらも他分野を俯瞰できる総合力を備えるべきであると信じています。例えば、情報技術の急速な進展に伴い、ビッグデータの活用が社會的な課題としてクローズアップされています。情報という素材を最大限活用するには、文系、理系の発想、技術がともに要求されることになり、社會はそのような人材を求めており、本學は數理データサイエンス、計算社會科學といった分野でそのニーズに応えようとしています。

さらに、人工知能の急速な発展は、社會の在り方を変えると言われています。現在存在する職業の大半が人工知能によって置き換えられたとき、人間とは何かという根源的な問いを、我々に突き付けることになると思います。

神戸大學はその115年の歴史と伝統を通じて、文系と理系のバランスの良い総合大學に発展してきました。その強みを活かして、平成28年4月から文理融合の「科學技術イノベーション研究科」を設立し、自然科學系の研究で生まれた「種」を、社會科學系の知見を活用して社會実裝まで持っていく教育?研究を展開しており、既にバイオ関係の大學発ベンチャーなど具體的な事例が動き始めています。將來的には、環境問題、醫療問題などへの貢獻が期待されています。これは、神戸大學創設以來の理念「學理と実際の調和」にも合致する試みだと考えています。この理念は、本學の出発點である神戸高等商業學校の初代校長水島銕也先生が唱えられた言葉ですが、學理とともに実務を重視された伝統として受け継がれ、時代を超えた本學の理念となっています。

今日ここにおられる皆さんは、このような風土や伝統を有する神戸大學での學位を取得され、高い専門力と実踐力の雙方を兼ね備えておられます。是非ともグローバルな課題に挑戦者として挑み、本學で學ばれ培われた実力を遺憾なく発揮され、世界に貢獻できる人材として活躍されますとともに、神戸、そして兵庫県は皆さんのような若年層の人口流出が課題となっていることを頭の片隅にとどめていただき、少し矛盾しているかもしれませんが、いつの日か地元に戻って活躍いただくことも期待して、私の式辭といたします。

平成30年3月27日
神戸大學長 武田 廣

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